【アニメ神回】「ねえ、この世界をみんな壊しちゃうの!?」『残響のテロル』第4話 「BREAK THROUGH」

【アニメ神回】「ねえ、この世界をみんな壊しちゃうの!?」『残響のテロル』第4話 「BREAK THROUGH」

突然ですがみなさん、『残響のテロル』というアニメを覚えているでしょうか。2014年夏ノイタミナ枠での放送開始時はわりとアニメファンの間で話題になった作品でしたが、終盤へ向かうにつれ尻すぼみでトーンダウンしてしまったイメージがあります。僕はラスト含め大好きですが。テロ、原爆、謎の施設で育った少年、スプレーで残された「VON」という文字。ワクワクしますよね。

監督は今季『キャロル&チューズデイ』をプロデュースしている渡辺信一郎、キャラクターデザインに『B: The Beginning』の中澤一登、音楽を大御所菅野よう子、制作はMAPPAです。この豪華キャスティングの時点でアニメファンはマストウォッチでしょう。

「残響のテロル」第二弾PV

音楽好きな人ならPV一発でピンと来たかと思いますが、本作の劇伴はアイスランドのポストロックバンド・シガーロスへのオマージュ。まずシガーロス風の劇伴という発想に拍手。菅野よう子さんは彼らのアンビエントな音像を上手に作品に取り入れましたね。もし本作の音楽が気に入ったら是非彼らのアルバムを聴いてほしい。邦題で『残響』というアルバムもありますので迷った方はこちらをどうぞ。『Takk…』もおすすめです。

いくつか印象に残ったシーンはあるのですが、今回は僕の中で最も刺さった第4話をピックしたいと思います。まあ何が言いたいかというと、4話Bパートラストのバイクシーンが最高なので観てくれ。

学校にも家にも「どこにも居場所がない」少女リサをテロリストの少年ツエルブが警察からバイクで連れ去るシーンです。夜の東京を駆け抜ける2人をハイウェイの灯りが静かに照らしています。

「ねえ 壊しちゃうの?」「え?」

たった90秒弱の短いシーンなのですが映像と音楽とセリフが絶妙にマッチしていて何度観ても入り込んでしまいます。リサの「ねえ、この世界をみんな壊しちゃうの!?」が印象的です。村上龍の不朽の名作『コインロッカー・ベイビーズ』を思い出しませんか。ダチュラですよ。

何より挿入歌が素晴らしい。リズム隊不在でエレキギターのクリーントーンが曲を牽引し、劇中首都高を走る2人がちょうどトンネルを抜けるポイントでサビへ移行。視界が一気に開けてノスタルジックな高揚感に包まれます。シンセプラック、空間系スライドギター、アコギのバッキングが心地良い。POP ETCのヴォーカルも甘いですね。まさに”魂が浮かび上がって”、夜の東京を、世界を見下ろしているかのような気分。ダウナー系ドラッグのようなメランコリックで儚い楽曲です。アブなさと多幸感が同居していますね。サントラvol.1で一番聴きました。

まったくジャンルは違うのですが、ここまで書いていてミスチルの『Q』収録の「ロードムービー」という曲に雰囲気が似てるなと。バイクにきみを乗せて走る歌ですし。「街灯が2秒後の未来を照らし」なんて桜井さんにしか書けませんよね。こっちも名曲なんだよなあ。

「なんか こんなふうに笑ったの 本当 久しぶり」

少し話が横道に逸れましたがこの神シーンの続きを。

ツエルブにつられるように笑い声を上げるリサ。挿入歌の歌詞の通り、リサの凍てついた心が解き放たれます。劇中初めて見せる笑顔ですが、目には涙をためているのが切ない。共にこの世界に居場所がない、どこか似た境遇のツエルブとリサが心を通わせる美しいシーン

どうですか。素晴らしすぎませんか。リサの細かい表情の変化や公園での会話等、まだまだ魅力を伝えきれていないと思うので、『残響のテロル』を未鑑賞の方は是非観てください。観た方も4話だけでももう一度。僕はこの記事を書くために4話まで観直してますが、このまま最終話まで行ってしまいそう。

非常に映画的でメッセージ性の強い作品ですので人を選ぶとは思います。しかしタイトルの「残響」の言葉の通り、放送終了から5年経っても彼らの物語は心の片隅でそっと鳴り響いています。

©残響のテロル製作委員会