【アニメ神回】 青春を、熱く踊れ。 『ボールルームへようこそ』第17話「表現者」

【アニメ神回】 青春を、熱く踊れ。 『ボールルームへようこそ』第17話「表現者」

『ボールルームへようこそ』は大好きな作品なので1話選ぶとなると非常に悩ましい。しかし僕は軽井沢合宿後編の第17話「表現者」を推したい。多々良&千夏のカップルが崩壊危機を迎えるシリアスな話数なのですが、日常回的な面白みや温泉のサービスショットもあったりで盛りだくさん。多々良と千夏を中心としたそれぞれのキャラクターの掛け合いも見ていて痛快。今後の激熱ダンスバトルへの布石となる重要な回です。

パートナーに寄り添うだけでリードのできないリーダーに自意識が邪魔をしてフォローのできないパートナー。多々良と千夏は非常に歪なカップルです。この凸凹で正反対の二人が衝突を繰り返す中でお互いを認め合い信頼関係が生まれていく。この過程がとても丁寧に描かれていてリアルなんですよね。

合宿では二人の関係も臨界点に達して最悪のムードになりますが、二人のダンスに懸ける思いや葛藤が手に取るように伝わってくるので物語への没入感は高まるばかり。本気だからこそぶつかるんですよね。演出や作画、声優さんの迫真の演技も素晴らしい。キャラクターに関しては特に千夏の魅力が詰まった話数になっています。

やはり僕は千夏というキャラクターが大好きなので彼女について語らせていただきたい。前半のパートナー・真子も庇護欲をそそられる可憐なヒロインでしたが、千夏は真逆を行きます。非常に勝気で感情をストレートに出す子なんですよね。劇中で“じゃじゃ馬”と評価(?)されるその気性の荒さに加え、主人公・多々良の言うことをまったく聞きません。予想外の言動を取って周囲を困らせることもしばしば。こう書くとただの暴力系ヒロインみたいですが、決してそうではなく、ちゃんとかわいらしい部分もあります。気が強いのに意外と打たれ弱いところとか。17話だと多々良にカップル解消されちゃうかも…と涙を浮かべてベッドにうずくまる姿は萌えますね。見た目で言うとおでこ全開の髪型がかわいい。2クール目で多々良がダンサーとしても人間としても成長できたのは千夏の存在に依る所が大きい。ほぼツンなのでデレたときが一際かわいい最高のツンデレヒロインです 。『ボールルームへようこそ』の女性陣は本当にみんな個性があって魅力的なのですが、千夏がナンバーワン。これだけは譲れない。なにをしでかすかわからないので目が離せないんですよね。

2クール目になっていっそう影の薄くなった雫も多々良を認めるセリフで見せ場を作りました。この作品のヒロインはヒロインであると同時にライバルでもあるのですが、雫は特にこの部分が強調されていますね。前パートナーの真子にも今回千夏を焚き付けて諭すという重要な役割があります。主要キャラほぼ全員に活躍の場があるのがこの17話なのです。

結局合宿が終わっても衝突は絶えませんが、喧嘩はダンスを向上させるための議論へと変化し、多々良も千夏もお互い自分のダンスを見つめ直すいい機会になりました。帰りの車で多々良が千夏のイヤホンに耳を傾けるツーショットは、二人が回り道をしながらも同じ方向に向かって進んでいくことへのメタファー。優勝できなければカップル解消の東京都民ダンススポーツ大会へのヒキもいいですね。実力からして優勝は非現実的ですが、なにか特別なことが起こりそうな期待感があります。

青春を、熱く踊れ。このキャッチコピーに嘘偽りはありません。

©竹内友・講談社 / 小笠原ダンススタジオ