声が紡ぐひと夏の青春、オリジナル劇場アニメ『きみの声をとどけたい』(2017/8)

声が紡ぐひと夏の青春、オリジナル劇場アニメ『きみの声をとどけたい』(2017/8)

今回紹介するのはマッドハウス制作のオリジナル長編アニメーション『きみの声をとどけたい』。初公開は2017年8月です。夏っぽいアニメ見たいなあと思ってふと目に留まった作品なのですが、公開された時期が悪かったのか当時あまり話題になりませんでしたよね。同年の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 』と被ったのも痛かったかもしれません。しかし蓋を開けてみるとなかなかどうして面白い。

まあ長編と謳うには若干尺が短い気もしますが、非常に丁寧に作られた作品です。まずは本予告をどうぞ↓

映画『きみの声をとどけたい』本予告

派手さはありませんが、主人公のなぎさを中心とした等身大の高校生の姿を真摯に描いています。作品に漂う圧倒的夏感が素晴らしい。どこまでも広がる青、照り付ける太陽、通り雨、入道雲、麦わら帽子、扇風機、アイスクリーム、セミの鳴き声…こういった舞台装置がふんだんに散りばめられていて湘南の夏を上手く演出しています。PVで分かる通りJKがローカルラジオやるんですけど、文字では伝わらないものが声や言葉にはありますよね。人の感情や温もり、想いが声となって力となるのです。作中で繰り返されるコトダマをファンタジー要素と捉えるかは人それぞれだと思いますが、昔から日本には言霊信仰なんてのもありますしこれくらいのキセキはリアルでもあっていいんじゃないか、むしろあってほしいと僕は思ってます。本作のように目には映らないけれども。

また挿入歌もいいんですよね。PVでも流れる「Wishes Come True」はまさに『きみ声』という物語を体現したピュアなメッセージソング。ピアノ伴奏だと合唱コンクールの曲のようでノスタルジックです。あと序盤でクラシックのレコードもかかるのですがやはりショパンのノクターンは美しい。あの旋律はいつ聴いても胸が締め付けられる。

声、そして音楽には人に訴えかける力がある。そう確信させてくれる爽やかな青春群像劇でした。この辺りの内容ははあまり言うとネタバレになっちゃうので控えますが、高校生が主役の青春モノにありがちな色恋ではなく友情や絆にフォーカスしているのもいい。

現在d-アニメストアでも配信中なので気になった方は是非見てみてください。心に涼しくて気持ちの良い風が吹きますよ。ラインでメッセージもいいですがたまには通話もしよう。想いは声に出して伝えよう。

©2017「きみの声をとどけたい」製作委員会