なぜ人は歌うのか?病床のミュージシャンが託す音楽のバトン『キャロル&チューズデイ』第15話感想

なぜ人は歌うのか?病床のミュージシャンが託す音楽のバトン『キャロル&チューズデイ』第15話感想

なんだか哲学めいた問いかけですね。非常に深いテーマを描いた回だったので感想書くのも難しい。

レジェンドから招待状が届く

無事リリースされた1stシングルはそこそこ世間で聴いてもらえてるよう。がんばったもんね。レコーディングを経てプロとしてやっていくには体力をつける必要があると認識するキャロル&チューズデイ。確かにミュージシャンは体力がないとやってけませんね。

ジョギング中にガス&ロディと遭遇。どうやらガスからビッグニュースがあるそう。なんと孤高のレジェンドミュージシャン・デズモンドさんからC&Tへ招待状が届いたのだという。案の定、二人はデズモンドさんを知らなかった模様。この子たちクリスタルさんしか知らないのかな?

地球に願いを

地球を眺めながらデズモンドさんの曲を聴く2人。父が彼のレコードを持っていたようで、懐かしさを覚えるチューズデイ。父は今は地球で暮らしているらしい。彼女たち2人とも父親が地球にいるんですね。

地球に願いごとをすると叶うと話すキャロル。チューズデイは「今のままでいたい」。キャロルは「(火星で)一番になって地球でライブツアー」。セリフに2人のキャラクターが出てていいですね。 今がずーっと続けばいいな、なんてめちゃくちゃチューズデイらしいしキャロルはギラギラしていてカッコいい。

一方選挙戦で不穏な動きを見せるヴァレリー。地球との戦争というワードは穏やかではありませんね。難民問題は我々島国育ちだとあまり実感ありませんが、ヨーロッパでは年々問題になってきてますよね。地球との貿易協定破棄を掲げるヴァレリーの排他的な姿勢は米トランプ大統領のアメリカファーストや英国のEU離脱を想起させます。チューズデイは母親との対決は避けられないでしょう。

デズモンド邸へ

デズモンドさん宅へ向かうチームキャロル&チューズデイ。今回はガスもちゃんとお呼ばれしててよかったね。

およそ家とは思えない東京〇ード学園をアップデートしたような建物に入るとそこは緑が溢れる巨大空間。なんと滝まであります。ピアノで歌うデズモンドさんがお出迎え。ピアノはデズモンドさんとシンクロしているのでしょうか、鍵盤を叩いていないのに音が出ています。浮遊感のあるピアノのアルペジオをバックに中性的なボーカルで独特の世界観を演出するデズモンドさん。C&Tの音楽と共通するのは音数の少なさか。

「会いたかった」。デズモンドさんはキャロル&チューズデイの音楽を高く評価し賛辞を送ります。噂されているような気難しい人物ではなく、温和で誠実な人柄が好感持てますね。

なぜ人は歌うのか

デズモンドさんから「なぜ人は歌うのか考えたことはあるのか」と問われる2人。それは伝えたい想いがあるから。孤独な少女たちはそれぞれおぼろげに答える。今はまだぼんやりと見えている段階だが2人の歌う理由は今後さらに確固としたものになるはず。彼女たちの旅は始まったばかりなのだから。

デズモンドさんはもう永くないらしい。命は永遠ではないが、この出会いの輪がどこまでも広がって続いていく。それが永遠なのだと。この輪をキャロル&チューズデイに繋いでほしいと。この世界を愛してると力強く語るデズモンドさんは残り少ない命の灯を歌に捧ぐ。

最後の歌声をC&Tに届け眠りについたデズモンドさん。彼の意志を継ぐキャロル&チューズデイ。この出会いは2人にとって大きな意味を持つことになるでしょう。「音楽はたった一人に伝わればいい。その想いが真摯で本物であれば、音楽は自然と多くの人に届く」。このセリフは刺さります。誰か一人のために歌うって素敵ですよね。

ラストのチューズデイのナレーションが意味深で気になりますね。歌うことの本当の意味とは…。セリフから察するにクリスタルさんあたりが何らかの形で歌えなくなったりするんでしょうか。もしくは彼女たちのもっと身近な人がいなくなってしまうとか。

非常にスピリチュアルで余韻のある回でしたね。歌が終わった後も続くアンビエントな鍵盤の和音が印象に残ります。デズモンドさん神々しい。両性具有だし。ここまで真剣に音楽に向き合った映像作品は他に類を見ない。本当に素晴らしいアニメーションです。第1話を見たときからずっと思ってましたが、第15話でさらにこの作品の音楽や歌に対するリスペクトを感じ取ることができました。

今回のデズモンドさんの音楽シーン↓

今回のサブタイトル「God Only Knows」は言わずと知れたビーチボーイズの名曲ですね。本当に美しい曲で、繰り返される”God only knows what I’d be without you.”の一節は愛する人を亡くしたデズモンドさんとオーバーラップします。ラストにデズモンドさんが歌う「All I See」はちょっと「God Only Knows」ぽい孤独感や切なさがありますね。ブライアン・ウィルソンが魂を削って作り上げた『Pet Sounds』はポピュラーミュージック史に残る名盤ですので興味ある方は是非聴いてみてください。

豪華アーティストによるボーカルコレクションvol.1も先日リリースされました。CDだけではなくSpotifyなど各種音楽配信サイトでも配信開始してますのでこちらの珠玉の楽曲群でキャロチューの1クールを振り返りましょう。

今週のキャロル&チューズデイ

久々にドジっ子属性を発揮するチューズデイに巻き込まれるキャロル。なぜそこで転ぶんだ。2話あたりのドタバタ掃除を思い出して懐かしくなりました。2人ともずいぶん成長してきましたね。

©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会