【アニメ神回】アレサ・フランクリンへのオマージュで彩る美しき再会。『キャロル&チューズデイ』第16話「A NATURAL WOMAN」

【アニメ神回】アレサ・フランクリンへのオマージュで彩る美しき再会。『キャロル&チューズデイ』第16話「A NATURAL WOMAN」

ライブイベント出演へ

デビューシングル「Army of Two」はビルボード初登場53位。ロディの言う通り自主制作としては上々ではないでしょうか。しかしこの程度で満足してはいけない。ガスは若手ミュージシャンの登竜門と呼ばれるイベント・サウスバイサウスウェストへの出演を取り付ける。最近のガスは有能ですね。

リズムセクション(ドラム&ベース)とエレキギターがほしいとぼやくキャロル&チューズデイはなんとその辺の河原で演奏していた冴えない3人組をスカウト。しかもタダでやってくれるそう。見た目に反して演奏スキルは確かなようです。さすがに毎回スペッククラスのミュージシャンを連れてくるのは難しい。

憧れの歌姫

練習帰りの川辺でキャロルが音楽を志すきっかけとなった歌手・フローラの姿を発見。ホテルのラウンジで話すガスとフローラ。どうやら2人は旧知の仲のようです。ガスは以前フローラさんを発掘・プロデュースしたと豪語してましたが本当でしたね。

ガスの回想へ。火星へ移住したガスが成功を掴めず飲んだくれていた場末の酒場で歌うフローラを見出す。口説き文句は「お前の歌声に相応しいのはこんなシケた店じゃねえ。お前には俺が必要だ」。

歌うために生まれてきたようなフローラに惚れ込んだガスは彼女を歌声を世界中に届けるために奔走。その想いは現実となる。

結果としてフローラはメジャーレーベルとの契約を勝ち取るが、これまでマネージメントをしていたガスはお払い箱に。一気にスターダムへと駆け上がるフローラ。

しかし目の前のフローラにそんな大スターの面影はなかった。どう見ても様子がおかしい。

カッコよすぎるぜガス

帰る場所すら今のフローラにはないようで、心配したガスは彼女をC&Tのアパートへ預ける。憧れのシンガーとの対面に興奮するキャロルだったがフローラは音楽への情熱を失っているばかりかなにかに怯えているようです。

朝になるとフローラさんがいない。慌てたC&Tはガスと探すが見つからない。C&Tは今度のイベントでフローラの曲をカバーして届けたいと提案。キャロルがガスへ発破をかけるのがらしくて良かった。消えたフローラの捜索をガスに任せライブ会場へ急ぐC&T。

20年程前に別れた場所でついにフローラを見つけるガス。フローラが歌わなくなってしまった理由が明かされます。栄光を手にしスターになったことで多くの裏切りを経験し他人が信じられなくなり、唯一信じられたもの(=ガス)も自ら手放してしまった。戻ってきてなんて言えるわけがない。

ここでガスの漢気溢れるセリフ。

「俺の望みはたった一つだけ。お前のあの最高の歌をもう一度聴くことだ。今度はこの手を離さねえ」

あれ、ガスってこんなカッコよかったっけ。いい顔しやがって…

(You Make Me Feel Like) A Natural Woman

フローラの手をとりライブ会場へ駆けるガス。もうC&Tの出番は始まっています。日比谷音楽堂のような屋外ステージですね。

バックバンドを従えたC&Tが披露したのは新曲「Day By Day」。この早めのテンポでどこか切ないフィーリングがいい。ピアノもジャジーでおしゃれですね。ナルバリッチやコーネリアスのOP曲に匹敵するハイクオリティな素晴らしい曲だと思います。これが1stシングルでもいいんじゃないかってくらい。別れた二人が20年の時を経て再会する今回の話にガッチリハマってますよね。クレジットを見ると曲を手掛けたのは昨今のトレンドであるブラックミュージック要素をいち早く取り入れた日本のバンド・ceroですね。さすが。

会場にたどり着いたガスとフローラを迎える曲はフローラのカバー「Give You The World」。ハチロクのリズムに乗せた甘いメロディがハートフルなミディアムテンポのバラードです。途中からフローラが涙を流しながら曲に合わせて口ずさみ、それを隣でガスが見ている絵が良かったですね。

ラストのフローラの表情とセリフが印象的で余韻の残る美しい終わり方でした。曲だけでなく脚本や演出も良かったし久々の神回ではなかったでしょうか。1曲目の「Day By Day」あたりからジーンと来てちょっと泣いちゃいました。最高のガス回。すべてがカッコよかった。

16話サブタイルの「A Natural Woman」は今までで一番ストーリーにフィットしているのではないでしょうか。最高のピックです。おそらくフローラさんのモデルはこの曲を歌ったアレサ・フランクリン。C&Tが今回ライブでカバーしたフローラの「Give You The World」も「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」へのオマージュでしょう。サビで繰り返されるこのシンプルなメッセージがガスとフローラの関係とオーバーラップしませんか。二人の失われた時間を優しく埋めてくれるよう。世界中で長年愛されてきたのも納得の素敵な曲です。

2クール目になっても勢いは落ちませんね。むしろデズモンドやフローラの登場で音楽アニメとしての完成度は高まるばかり。物語的にも毎週動きがあって面白い。1話から引っ張ってきた奇跡の7分間が本当に楽しみです。

今週の音楽シーン↓

今週のキャロル&チューズデイ

シングルの順位発表の瞬間。ドゥルルルルルル。

©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会